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by a_villager

株式投資に関する有名なベストセラー、A Random Walk Down Wall Street、の著者Burton Malkielが中国の長期的な経済発展・中国株式投資の魅力について書いた本。

From Wall Street to the Great Wall: How Investors Can Profit from China's Booming Economy
Burton G. Malkiel / / W W Norton & Co Inc
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いくつかの課題はあるものの、中国の政治経済が将来崩壊するという警告を発する人たちには反対して、長期的な中国の経済発展・政治の安定性について、Malkielは楽観的な姿勢を取っている。

良い部分、悪い部分の衝撃的なストーリーではなくて、比較的客観的なデータを使いながら今までの中国の経済発展とその現状を説明しているところが非常に面白かったし、これからもいろいろと参照する上で助けになると思う。いくつか、興味をもった点を。。。

・中国国民は今現在、世界における高価な嗜好品の売上げの12%担っている。Goldman SachsのアナリストJacques-Franck Dossinは、10年以内に中国は世界の高価な嗜好品の最大の市場になるだろうと見ている。(p.44)

・中国政府は巨大で発展性のある国営企業を民間市場での競争に放つときに、毛沢東時代の独占体制による悲劇の教訓から、それらと対抗できるような競争企業を作りだし、お互いに競争して民間市場を活性化させるように努めた。例として、China Mobileに対抗して作られた、China UnicomやChina Telecom、China Netcomなどを挙げている。(p.57)

・中国の今ままでの一人っ子政策によるこれから少子化は子供一人当たりにかかる教育費の増加をもたらし、他の発展途上国と比較したときの中国の義務教育制度の充実ぶりから考えて、これから10年後、中国の人的資本の増加をもたらすだろう。(p.69)

・中国の銀行の不良債権が問題問題というけど、中国の銀行の支配的な大株主が国家だから、その不良債権も国家の債務として考えることができる。そうした場合に、中国の不良債権はGDPの25%、外貨準備残高の60%になり、アメリカの対GDP29%や日本の対GDP165%と比べてもそこまで深刻には見えない。中国当局が銀行システムのメルトダウンを許すわけもなく、よって、銀行の不良債権によって中国経済が崩壊するだろうという見方は根拠がないという。(しかも、外貨建てではなく、大部分が人民元建てだしね) (p.70)

・中国のこれからの経済発展の障害について、国家が上場されている企業の大株主になっている現状は、他の民間の株主の企業・取締役会に対する訴訟を困難にし、それによって健全なチェック機能の発展を遅らせている。(p..111)

・中国の株式市場の乱高下が極めて激しいのは、PER(=株価/一株利益)の変化が激しいから。上海のA株(中国国民向けの株)を見てみると、2001には48.30あったPERが2003年には32.98、2005年には18.42まで急激に下がっている。そのあと、2007年にはまた40まで上げっている。だけど外国人投資家向けのH株、N株にはそこまでの激しいPERの変化は見られず、それよりも企業の成長率の変化を反映した株価になっている。(p.154)

・中国政府は中国の石油大手Sinopecの経営を強くコントロールしている。政府は原油価格の国際市場での価格にあわせた変動は認めているが、Sinopecの製品であるガソリンなどの価格変動をコントロールしている。それによって社会・経済の安定を保とうとしているが、2004年から2006年までSinopecは商品を作るごとに損失を出す状況が続いていた。(これは今も、そうでしょうね) (p.204)

さすが有名な経済学者の書いた(共著した)本だけあって、主張をサポートする事実を多く盛り込んでいる。これが中国の経済を完全に映しているとは思わなくても、この本に書いてあることを手がかりにして調査したり、今まで気がつかなかった・知らなかった視点を持つことには大きな価値があるでしょうね。

良い悪い、両方の意味で、これから中国を無視して、生活・仕事をしていくことは不可能でしょうね。
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# by a_villager | 2008-06-08 12:32 | 中国

このブログについて

日本の、狭い狭い金融業界で働いております。

毎日・毎週、出来る限り、インプットした情報を咀嚼して自分の言葉で発信(というのは大げさかもしれないけど)することによって、より一層自分の理解を深められ、さらに常に新しい情報を求める姿勢を保てると思い、このBlogを始めようと思いました。

Blogのタイトルの由来は、2年間勉強した大学院の自習室の名前、Academic Villageから由来しています。もちろん、狭い金融業界にもかけています。

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それと、まだまだ勉強不足、というより常に勉強を続けている身なので、知識不足・間違った理解・不適切な表現等が多々あると思います。その際にはどうかご指摘くださると幸いです。
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# by a_villager | 2008-05-12 11:21 | このブログについて