初めての方は、このブログについて、をご覧ください。金融業界で働いています。毎日の気になった情報・ニュース・考えを載せていきます。友人・知人の皆さん、コメントの際にはハンドルネームで呼んでくださいー。


by a_villager

いろいろ


今日は雑多な話題ですが。。。

このニュースを見て呆れ返った。。。

「300億円調達」実際は92億円 アーバン、非公表
2008年8月18日20時39分 朝日新聞

アーバンコーポは6月26日、BNPを引受先に300億円の転換社債を7月11日に発行すると発表。「資金は短期借入金の返済にあてる」としたため、市場には「当面の危機は去った」(アナリスト)との見方が広がった。

 ところがアーバンコーポはBNPと別にスワップ契約を結んでいた。いったん300億円を手にするが、発表翌日以降に株価が下がり続けるとBNPへ返還額が生じ、調達総額が減る契約内容だった。

 発表日に344円だった株価は下がり続け、民事再生法適用の前日には終値が63円まで下落。返還額が膨らんだため実際に調達できたのは計画の3割の92億円で、アーバンコーポは資金繰りに窮した。

 一方、BNPはすでに転換社債150億円分を株式に換えて市場で売却。92億円分はすでに回収した模様で、残る150億円の社債についても資金回収を進めるとみられる。だが、BNPによる大量の株式売却が株価を一層押し下げた可能性もあり、アーバンコーポ側は返済義務の有無について争う構えだ。


短期資金300億円調達しましたといって、実際にはそれを大きく下回る可能性がある事実を隠してたと。。。詳しい法律的なことはわからないけど、商業ベースで取引をしたBNPはともかく、そういう致命的に重要な事実を投資家に対して隠していたアーバンの経営陣については、ちゃんと何かしらの罰を与えるべきじゃないかなぁ。と思う。こんなことがまかり通ったら(現実にまかり通っているが)、誰も公開情報に頼って投資なんかできないよ。アーバンはBNPにトコトン、カモにされた形だね。。。かわいそうだけど、もっと悲惨なのは株主のほうだ。。。これを機に情報開示等について法律が整備されるといいが、今の政府の様子だと、下手な規制ができそうだわね。


このニュースと同時に、このレターを読んだのは偶然というか。。。アメリカの元SEC議長Arthur Levittの講演。

The "Numbers Game"
by Chairman Arthur Levitt, September 28, 1998


この講演の中で、ウォール街のアナリストが企業の1株当たり利益(EPS)の予想に夢中になり、企業の経営者もその予想を満たし、そして超えるために、企業会計の柔軟性を悪用して、会計操作を多用していることを批判している。

その代表的な手法として、"Big Bath" restructuring charges, creative acquisition accounting, "cookie jar reserves", "immaterial" misapplications of accounting principles, the premature recognition of revenue の5つを挙げている。

これらだけを見ると、ふーん、簡単に見つけられそうじゃんと思うかもしれないけど、実際に200ページ近い企業のAnnual Reportを開くと、信じられないくらいの量の数字に圧倒されて、とてもじゃないけど、少なくとも今の自分にはできそうにない。これらの膨大な数字を解いて、再構築して、嘘を見抜くのは本当に知識と経験が要求される仕事だと思うし、まだまだコンピュータにはできない仕事だと思う。がんばらなきゃ。


今日の朝に、会社のMLでこれが流れてきて、オフィスでニヤニヤ笑いながら眺めてた。株とかに投資した経験のある人なら、これの面白さがわかるはず。(クリックすると拡大できます)

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# by a_villager | 2008-08-19 05:51 | 日常

魔法の金融ワールド


国際決済銀行BISのカンファレンス用にDarrel Duffieが書いたワーキング・ペーパーを読んだ。DuffieはDynamic Asset Pricing Theoryっていう金融経済学の有名な本を書いた有名な学者(本のコピーは持っているが、1ヶ月くらいの長期休暇でも取れない限り、開く気にもなれない代物)


Innovations in credit risk transfer: implications for financial stability
by Darrell Duffie
Working Papers No 255, BIS


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このペーパーの中で信用リスクを移転することを可能にした金融商品(CDOとか)について述べている。詳細な数字を混ぜつつ、コンパクトに書いてあるから、思った以上に読みやすかった。

興味深かったのは、後半の部分。CDOの原資産(ローンとか、債券とか)は理想としては個々の相関が低く、そのために、それらを束ねることによって全体としてリスク分散が働いて、より価値の高い金融資産になるという、1+1=3みたいな状態。

でも実際には個々の原資産間の相関関係はかならずしも低いとは限らない。もし、これが完全な正相関にあると、1つの原資産がデフォルトを起こすと、全部の原資産がデフォルトになる現象が起きることになる。そして、その逆もまたしかり。そう言う状況では、CDOの上位層はその相関が上がるにつれて、上位層の価値も上がる仕組みになる。なぜなら、上位層は最初に支払い、解散価値を受け取るから。

その逆として、相関関係が下がるにつれて、価値が上がるのは最下位層。なぜなら、最下位層は上位層の支払(大抵、一定比率)の後の部分を総取りするから。

コールオプションに例えると、上位層は相関関係に対してショート・ポジションになっていて、最下位層は相関関係に対してロング・ポジションになっているともいえる。

で、問題はその原資産間の相関関係をどうやって正しく正確に推定するか。本来重要なはずのデータの質や、データの適当性について、実際の現場ではそれほど神経を使っていないみたい。(さらには、資産を流動化させることによって、その原資産の支払いを査定・モニタリングするインセンティブが銀行からなくなってしまっているから、過去のデータ、つまりそれらのインセンティブが存在していた状況でのデータを使うことの有効性すらも疑問になる) しかも、ある相関を推定したとして、それが上位層、中間層、下位層、など各層それぞれの価値評価に対して、どのような影響を及ぼすのか。それらの推定、モデリングの技術はまだまだ未発達だといわざるを得ないと。

これはMoody'sなどの格付け会社にも言えるが、投資家はそれらの評価が困難な金融資産のリスク評価を格付け会社に委ねてしまっている。本来、それらの新しい金融資産自体は、理論的には、リスクの再分配をして経済をより効率化させるはずだけど、それを正しく評価したり、使ったり、精製したりすることにはまだまだ多くの課題が残っていると。

そして論文の後に、大手債券投資会社PIMCOのボスの1人、Mohamed El-Erianのコメントがあって、こちらも非常に面白い内容になっている。意訳として。。。

新しい金融商品、もっと正確には多くの原資産を束ねて作る証券化商品が登場するにつれて投資家の視点、リスク評価は個々の原資産のリスク特製から、それらの束、つまり個々間の相関関係に移っていくことになる。

そしてそれらの評価は複雑であるために少数の格付け会社に委ねることになるが、問題は、それらの格付け会社がそれらの評価に十分な理解を持っているということになる。

リスクの評価は経済における資産の最適配分に大きく関る問題なので、これの問題は経済全体の成長にとっても大きな意味を持っている。

摩訶不思議な金融ワールドですね。。。困ったのは、こういう代物が金融機関以外の事業会社の中にも一杯入っているという事実。世の中がどんどん複雑になりますね。
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# by a_villager | 2008-08-17 07:53 | ファイナンス

今日は土曜日。試験も終わったことだし、外に出かけた。いろいろと買い物をしようとホテルを出たはいいものの、デパートを見ても、ショッピング街を見ても、欲しいものは殆どなく(笑、気が付いたら、Charing Cross Roadっていう本屋が一杯ある通りにいた(笑。日本で買えない本が一杯あって、荷物の重量制限を考えつつ、いくつか買った。よくよく考えたら、ロンドンでの出費の殆どは食費と本だ。。。なんかヒドイw

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今日のも含めてロンドンで買った本をリストにしてみた。この嗜好の偏り具合はひどい。。。

Extraordinary Popular Delusions and the Madness of Crowds & Confusion de Confusiones (by Charles Mackay and Joseph de la Vega)

Experimental Economics: How we can build better financial markets (by Ross M. Miller)

Happiness: Lessons from a New Science (by Richard Layard)

The Predators' Ball: The inside story of Drexel Burnham and the rise of the junk bond riders (by Connie Bruck)

Infectious Greed: How deceit and risk corrupted the financial markets (by Frank Partnoy)

The Number: How America's balance sheet lies rocked the world's financial markets (by Alex Berenson)

The Greed Merchants: How the investment banks played the free market game (by Philip Augar)

The Poker Face of Wall Street (by Aaron Brown)

Enron: The rise and fall (by Loren Fox)

The Accidental Investment Banker (by Jonathan A. Knee)

The State of Africa: A history of fifty years of independence (by Martin Meredith)

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# by a_villager | 2008-08-17 03:39 | 日常

今日はロンドン・オフィスで自分の働いている部門だけのトレーニングで、Financial Modellingを勉強。

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Income Statement、Balance Sheet、Cash Flow Statementにおける一連のお金、会計上の数字の流れをどうやって効率よくExcelシートに組み立てていくのか。色んなExcelの便利な小技。Modelをふっ飛ばさないようにするコツ、壊れたModelを直すコツなどなど。それと、簡単な感応度テストのやり方も一緒に、Discount Cash Flowもお勉強。

1日の授業・練習で株式のModelingの基本はできるようになった(こう書くと仕事の内容がバレそうですねw)。実際の仕事の場面では、もっと細かい項目を入れたり、事業部門別、所在地別で計算したりするけど、基本は全部同じ。

でも、やはりというか、こういうModelの作り方は株式のDCFについては結構簡単だと思うけど、最終的にはModel自体がその結果、企業価値評価、株価予測の良し悪しの決め手にはならないような気がする。Model自体よりも、その計算で使う、売上げの成長率、利益率、配当政策、資本政策、金利、株式の割引率、などなど、そういういった主観的に決めざるを得ない要因のほうが、最終的なアウトプットに与える影響の方が大きいと思う。

どんなに大きな、多次元の感応度メイトリックスを作っても、最終的にどの行・列、どの結果を選ぶのはModelとは関係のないところでの話だし、それが決定的に重要な意味を持っている。

もちろん、足し算と引き算を間違えて入力して、予測株価を違う方向に吹っ飛ばしたら話にならないけど(実際にあった話らしい。Capital ExpendituresをCash Inflowだとウッカリ間違えて入力して、DCFで株価のターゲットを超高いところに吹っ飛ばしてレポートに書いたアナリストが実際にいたらしい。。。しゃれになってねー)。

Modelは非常に重要な道具の1つだけど、その計算の過程で多くの、しかも決定的に重要な、主観的な数字が必要になる。複雑で精緻なModelを組み立てることはできるけど、仮定の上に仮定を重ねたり、主観の上に主観を重ねたりして、誤差を発散させないよう気をつけないといけない。1年先の売上げ成長率を予測することだって非常に難しいのに、それを将来5年にわたって予測し、さらに他のいくつもの変数についても同様の予測をして、それをModelに埋め込む。それがどれだけの誤差を結果的に生むのか。。。

Modelをどこまで簡潔にするべきなのか、どれだけ現実の企業活動を反映させるべきなのか、その間でのトレードオフはもちろん考えるべきだけど、もっと重要なこととして、結果に対して致命的に重要な要素の推定をどれだけ高い精度で行うのかも重要になる。

それか、もしくは、そのような推定の限界を受け入れて、それらの誤差を考慮に入れても、判断できるような手法を使うのか。1日の短い授業だったけど、仕事で使うにあたって、色んなことを考えさせられた。


授業は面白いし、内容もそこまで難しくないんだけど、自分の場合、ロンドン・オフィスのコンピュータを使うとき、東京オフィスの自分のファイルにアクセスしているから、非常に遅い。遅すぎる。500kのExcelファイルを開くのに30秒くらいかかる。しかも、よくフリーズする。真夜中の東京オフィスは省エネで電気落としているのかと本気で思ったくらいだ。

皆がテキパキとExcelファイルを組み立てているのに、自分は砂時計とにらめっこ。。。。本当にストレスが溜まる。イライラして、しかもクラスのペースに追いつかないから非常に疲れる。疲れると英語も上手く喋れなくなるから、更にストレスが。。。という悪循環。来週もコンピュータを使うトレーニングがあるけど、これだけは我慢ならないなー。困った。。。
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# by a_villager | 2008-08-16 07:06 | 日常

朝のBankを颯爽と(笑

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ロンドンの夏は、朝はスーツを着ていてもひんやりするくらい涼しい。夕方と夜によく雨が降るから朝の空気はとても澄んでいて気持ちがいい。ノーネクタイのブルーのシャツを着て、カフェで買ったコーヒーを飲みながら、Bank of England周辺の石造りの銀行街を通り抜けてオフィスに向かう。気分はCityの金融マン。ほほ。これで、片手にFinancial Timesでも抱えてたら完璧だが、今日は買うのを忘れた(笑

今日は合計4つのミーティングに出席した。予想はしていたが、何を言っているのかサッパリわからない場面が多かった。話している内容がわからないというよりも、そのバックグランドがわからないから、話している内容を自分の知識と照らし合わせたり、1つ1つの内容を結びつけたり、自分なりの仮説を立てたり、そういう頭の中でのインタラクションができなかった。

それでも出席した価値はあったと思う。東京オフィスのチームとは違う考え方、アプローチを見ることができた。個人的にはこちら、ロンドンチームのアプローチの方が好きかもしれない。これまた上司と同年代の人たちだからいい目標にもなる。あと10年です。

こうして色んな話を聞いたり、色んな人の仕事を見たりしていると、本当にやらなきゃいけないこと、勉強しなきゃいけないことが一杯あるのを再実感する。おそらく、これから先10年間は、仕事に夢中になるような気がする。今の仕事は本当に楽しいし、いつも超少人数チームにいるから、すごく近くにすごく遠い目標が一杯いて、それらに早く近づきたいなぁ。東京以上に、ロンドンのオフィスにいて、そんなことを感じた。
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# by a_villager | 2008-08-15 06:16 | 日常

毎日1つ以上のことを勉強したい。そうなりたいとこの頃、真剣に思う。自分の上司が大学院を卒業して12年目で今の地位に立ち、今の知識・経験を手に入れいているのを見ていると、あと12年の間に自分にそれ以上のことができるか真剣に考えてしまう。12年なんてあっという間だから、1日1日無駄にはできないし、毎日何かしら成長した感じられるように過ごしたいもの。

昨日のFinancial Timesのコラムにジョージ・ソロスが投稿をしていた。こういう記事1つでも£2を払う価値はあるっていうもの。



A Danish fix for America's mortgage debacle
George Soros, Financial Times, Aug 12, 2008


この中で、今のアメリカの2つの住宅公社、ファニーメイとフレディマックを批判している。(ちなみに、コラムの最後に、ソロスのファンドが2つの公社の株に対して売りポジションを取っていることも明記している)

2つの公社は必要とあらば政府から白紙の小切手をもらって生き残ろうとしているのに、その経営陣は今の地位に残っているままで、しかも、今の資本不足の状態では、彼らは自信に与えられた、アメリカの住宅市場に安定した、流動性のある、手ごろな資金を供給するという使命を果たせない。

この危機を乗り越えるために2つの住宅公社は貸出先を信用履歴の良い貸し手に絞って、新規ローンの質を上げようとしている。これによって、彼らは住宅ローンのコストを大きく上げ、また貸し出しの基準を絞っている。

問題は、これらの公社が住宅ローンの市場の中で大きくなりすぎたことにある。過去1年の間に2つの公社の新規住宅ローンの市場シェアは倍増し、80%に至っている。これによって、ローンの質を上げようとする行動が、住宅の買い手の新規ローンの入手を困難にし、住宅の需要を減らす結果をもたらしている。

その結果として需要不足によって住宅価格の下落が止まらず、公社のローン・ポートフォリオの損失を悪化させることに繋がっている。つまり、公社の行動は、自己破壊的な性質を持っている。公社を救おう、または延命させようとする努力によって、幅広い住宅市場の危機を更に悪化させている。

これら2つの公社はその経営リスクは公共セクター、さらには納税者が負担しているが、そのリターンは経営者と株主が得ているという歪な構造を持っている。

と、その後は、その解決法としてデンマーク債という特殊な債券を使うことだと述べているけど、読んでもちょっとわからなかったので今のところパス。

でも、住宅公社の行動が、その市場における規模のために、自己破壊的な性質を持つようになったというところは非常に勉強になった。経済は色んなところで繋がっていることと、価格は需要と供給によって決まるということ、これをいつも頭に入れておきたいもんですね。


今日の午前中に過去3週間苦しんできた資格試験を終えた。3年前に留学のために受験したTOEFLやGREと非常に似た教室・環境で3時間、155問の問題を解いてきた。

結果は来週にも判明するが、個人的にはある程度の楽観を持っていいかなと。70-75%が合格ラインだとして、間違えていい問題の数は保守的にみて、20%前後となるがそれだけ(30問)の問題に対して不安・不明感を感じたわけではないから。ま、とにかく終わったので、教科書、問題集を見えないところにしまいこんで忘れることにします。

明日からロンドンオフィスで研修+仕事。色んなチームの会議や、毎朝のグローバル会議に出席できるので、東京のチームとは違う見方が聞けるか楽しみだ。
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# by a_villager | 2008-08-13 22:50 | ファイナンス

昨日のNew York TimesのDealbookに投資銀行、いわゆるセルサイドのリサーチについて面白い記事が載っていた。



Analyzing Wall Street’s Research
August 11, 2008, New York Times Dealbook


シリコンバレーの有名企業の新規上場をこなしてきた投資銀行家Frank P. Quattroneが今の投資銀行のリサーチ部門のリサーチの質の低下についてコメントしている。

その質の低下の原因として、ITバブルの後にできた規制によって投資銀行部門とリサーチ部門とのコミュニケーションを殆ど絶たれたこと、またリサーチ部門の収益ベースを投資銀行部門から分離させて、独立ベースか、もしくはトレーディング部門と合わせたことを挙げている。

その結果として、リサーチ・アナリストが投資銀行部門を通じて得られてきた知識、企業への調査のアクセスが絶たれたり、アナリストの高給に見合うだけの収益がリサーチ部門から得られなくなって、待遇が下がったり、リサーチ部門の縮小・閉鎖を招いた。

これによって、優秀な(+高給取りの)リサーチ・アナリスト、またはこれからリサーチ・アナリストを目指す人は投資会社、ヘッジファンド、PEファンドと言った、バイサイドに流れてしまった。それによって、リサーチの質が落ちてしまった。

また、トレーディング部門と収益ベースを合わせられてしまったリサーチ部門は、トレーディング、ブローカレッジで収益が得られる上場大企業へのリサーチばかりを行うようになって、将来の発展が見込めるはずの小規模のIT企業の調査を行うアナリストがいなくなり、そのような投資機会に投資家のお金が流れなくなったことを指摘している。

リサーチ・アナリストの仕事は、機関投資家から見れば、単純な買い・売りの推薦ではなく、その企業、産業の性質・動向を分析することにあって、それを頼りに投資判断をしているから、今のアナリストの質の低下、フォーカスの偏りは深刻な問題だと。

リサーチの独立性を重要視しすぎたために、このような問題が起きたと指摘して、これからは徐々にその規制を緩める方向に持っていかないといけないと。リサーチの独立性と、質と、そのトレードオフ(2つは必ずしも相反するものじゃないけど)のどこで折り合いをつけるか。

“I am not denying that there is the potential for conflict ― always has been, always will be. I’m just questioning the best means of managing the conflict,” he told me after his presentation. “If the principles of what constitutes ethical and unethical behavior are spelled out clearly, such as disclosing the firms’ investment banking relationships and ownership interests in the covered security, as well as not publishing favorable reports on companies in which you do not believe ― and violators are punished ― the conflicts will be managed.”


何が何でも規制でがんじがらめにするよりかは、原則をハッキリして、それから大きく外れたら厳しく罰する方向に持って行くべきだと。。。でも、こういう原則重視の規制って、アメリカよりイギリスの方に長い歴史があって、アメリカはもっと法律で1行1行明記しているやり方だから、どこまで実現できるんでしょうかね、と、資格試験で勉強したイギリスはPrinciple-based regulationっていうところで少し知ったかぶりをw 実際のところ、Principle-based と Rule-based はどう違うんでしょうかね。。。と疑問に思ったけど、法律がらみの勉強は嫌いだから、調べる気も起きず。。。
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# by a_villager | 2008-08-13 00:53 | 投資

世界中の出来事はどこかで(特に経済的に)繋がっているし、金融市場も架空のものを取引しているように見えても現実の世の中の経済活動としっかりリンクしているということを勉強。

今日のFinancial Timesは特に面白い記事が一杯あった。



Greenspan says 'good speculation' will cut the top off market peak

石油先物市場と石油価格の関係について、グリーンスパンがコメントしている。

石油の先物市場では2004年から投資家がネットで買い建てのポジションを取っていた。この取引相手、つまり先物価格で石油を売り建てていたのは、実際に石油の在庫を所有しているオーナーで、先物市場で売った石油を実際に期限に届けるために(実際に投資家は石油を受け取らないけど、それは売り建てをしている人には関係ない話。売り建てをしている実際のオーナーは現物を届けるのが合理的)、現実の経済で使うために、パイプラインやタンカー、製油所で処理できる以上の量の石油の在庫を積み上げてきた。

そして今、投資家が世界経済が曲がり角に来ていること、長い間積み上げてきた買いポジションの利益を実現するために先物の買いポジションを解除してきたために、石油価格が落ちている(裁定取引によって現物と先物との間にはある程度の関係があるから、先物が落ちれば現物もそれに対してある程度反応する)

こういう先物市場の動きによって、それがなかった場合に比べて、現実の石油在庫を所有しているオーナーが在庫を積み上げるインセンティブが生まれ、石油の供給量を増やす役割を果たしている。この先物市場の働きがなければ、将来的に急激に在庫が干上がり供給が圧迫して、経済により大きなダメージを与える可能性もあると。

むー、実に勉強になる。どんな複雑な金融商品も、どんなに姿かたち名前を変えようと、実際にその裏側にある経済活動を反映し、その経済活動に影響を及ぼしているっていう、金融経済と実物経済のリンクを再認識させられた。

次の記事は、またまた石油に関するもの。


Opec income at record as oil prices soar


OPEC(石油輸出国機構)の2008年上半期の石油輸出額は2007年一年分に匹敵する6450億ドルだと。それによって、OPECがアジアや欧米からの輸出を吸収し、さらにはSWFなどを通じて傷ついた金融機関に投資をすることに世界経済の減速を防ぐことに役立っていると。これによって、世界の富の移転、経済力の移転が急速に進んでいる。

興味深いのが、OPECのなかで、唯一インドネシアだけが2007年も2008年上半期も、石油の純輸出がマイナス。つまりOPECでありながら、石油の純輸入国になっている。その額は2007年一年と2008年上半期で同額の40億ドルのマイナス。国のBalance of Paymentはどうなっているんでしょうか。。。経済の安定性が心配になりますね。


3つ目の記事も石油がらみ。

Two challenges highlight the scale of the bonanza

富の移転と書いたが、それを示す数字が非常に面白かった。マッキンゼーの調査によると、今の石油価格で計算すると、地球上にある石油の総額は162兆ドルで、これは全世界の株式(52兆ドル)と債券(67兆ドル)の合計よりも大きく、世界にある全金融資産(2006年時点で167兆ドル)に匹敵すると。

これによって、確かにSWFなどを通じて産油国は先進国や発展途上国の金融資産を買うことになるが、それでも石油から金融資産への富の移転を考えたとき、その石油の金額を吸収できるだけの金融資産が地球上に果たして十分にあるのかという問題が発生する。

非常に大きなスケールで、不確実な点も一杯あるけど、世界のお金の流れが根本的に変わっていくことになることを示唆しているね。20年後、30年後の経済はどうなってるんでしょう。。。
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# by a_villager | 2008-08-12 05:13 | 経済

規律


明後日の試験の模試で95%を2回出してから勉強がマンネリ化してきた。穴を埋めるだけの作業に飽きてきて、合間合間にニュースを読んだりしている。各分野の専門家のコラムを多国語(日本語はないw)で掲載しているProject Syndicateに、元IMFチーフ・エコノミストでチェスの世界王者(!!)のKenneth Rogoffの、今の金融危機についてのコラムがあったので、興味深く読んだ。

The End of Financial Triumphalism?
by Kenneth Rogoff


面白かったところは2つ。

1つ目は、政府は景気がいいとき、金融システムが調子よく回っているとき、さらには大手金融機関が儲かりまくっているときにこそ、適切な規制を真剣に考えるべきで、金融業界と一緒に調子に乗って納税者のお金を過剰にリスクにさらすべきではないと。

2つ目は、政府が時々、金融機関の破綻を許すことが株主、債権者、経営者に対して本当の規律を持たらすことにつながる。その点で言えば、とっくのとうにその経済的な役割を終えた2つの住宅公社を、アメリカ政府が白紙の小切手でもって救済しようとしているのはばかげている。

For governments, the key to success in regulating financial markets lies in maintaining reasonable constraints during boom times that prevent taxpayer funds from being put excessively at risk. Unfortunately, this is difficult to do, because boom times make people who warn of risks seems like doom mongers. That is why it is so important that governments allow financial firms to fail occasionally. That is the only way to impose real discipline on shareholders, bondholders, and corporate leaders.


中央銀行の役割は、パーティが一番盛り上がっているときに、お酒の入ったボールを取り上げることだと言ったのは、FRBのポール・ボルカー(グリンスパンだったかな?ww)だったけど、中央銀行だけでなく、政府、議会にもそういう姿勢は必要なのかも。

産業界、経済が熱狂しているときに、それに逆らう行動をするっていうのは、民主主義の上になりたっていて、常に有権者のプレッシャを受けている議会、そして政府には難しいのかもしれないけど。。。

Financial innovation ought to be allowed to flourish, but not without better checks and balances. Otherwise, we will be forever trapped in a framework where taxpayers are forced to bail out banks in bad times, while wealthy shareholders reap huge profits in good times. It is time to leaven financial triumphalism with some humility and common sense.


金融業界で働いているけど、これは残念ながら正しいと思う。。。
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# by a_villager | 2008-08-12 00:36 | ファイナンス

自己分析


就職活動とは少し違う自己分析を。

来週水曜日の資格試験まで4日間の連続休み、というより缶詰期間。ひたすらテキストを読み返したり、模擬試験を解いてみたりする毎日。

試験の足切りラインは70-75%くらいで、本番よりもマニアックな質問が出ているといわれる模擬試験で平均して80%半ばをマークしているが、どうも気分が晴れない。その理由を自分なりに考えてみると2つに分けられるかもしれない。

1つ目。本番じゃ何が起こるかわからないから、できるだけ大きなマージンを今作れないとマズイ。要は90%以上取らないと心配でしかたがない。

2つ目。純粋に問題を間違えるのが嫌。以前勉強したところで問題文を読み間違えたり(問題文の英語が読みづらい表現になっている等)、ど忘れしたりしていると腹が立つし、そもそも試験範囲じゃないだろうっていうくらいマニアックな質問(知らなきゃ無理系の)が出たりすると、電卓を投げたくなるw

2つ目は置いといて、1つ目は、もしかしたら(というか恐らくは)自分が必要以上に悲観的で心配性ってことを示唆しているのかもと。最悪の事態をいつも頭のどこかで考えていてビクビクしているのかもと。

仕事柄、そういう姿勢はプラスだと思うけど精神衛生上、大変よろしくない。もっと楽観的に、前向きに考えられたら気が楽になるのに。以前からそういう風なものの考え方をしていたかな?と考えると、そうともいえないような気がする。じゃ、いつからそういうものの考え方に変わったんだろう、と考えると、有力候補として挙がるのは、恐らくは、アメリカの辺境の地での2年間の大学院生活じゃないかと。たぶん、そこを境にすごく悲観的な見方をするようになったのかもしれない。困ったこまった。。。


The Economist誌に日本の週刊モーニングで連載中の島耕作が取り上げられていた!!

Face value
A question of character
Aug 7th 2008
From The Economist print edition


普通は実際の有名人、何かを達成した人を取り上げるコーナーなのに、日本の漫画の登場人物を挙げるなんて本当に珍しい。

この漫画が日本のサラリーマン社会の色んな問題を取り上げていることを挙げ、その主人公島耕作が日本のサラリーマンの多くがなりたいけど、なれない姿を表していて、変えたいけど変えられない現実に立ち向かっていると書いている。世界に取り残されている日本のビジネスマンに対して目標みたいなものを示しているとかなんとか。

そこらへんの大きな話題は置いといて、ちょっと面白かったのが、やっぱり保守系で辛口のThe Economistらしく、こんな突込みを忘れずに入れている。

In the 1990s the president of Hatsushiba sought to defend a former friend’s company that was under threat of a hostile takeover, and dispatched Mr Shima to spare no expense and buy up its shares. Mr Shima was venerated for his success. Yet his actions represented a blatant conflict of interest and a misuse of corporate funds. In the West, the pair would have faced shareholder lawsuits and possibly criminal charges. When confronted with this, a wide-eyed Mr Hirokane can only stammer that Mr Shima’s actions were probably allowed in Japan at the time.


日本の会社の古い、ありきたりのルールを破ってきたけど、そういう資本主義の根幹の部分はやっぱり日本色のブレンドでしか読者に受け入れられないのかもね。日本はアングロ・サクソン系の純粋資本主義とは違うと。

But his very presence in the boss’s chair is improbable. His career has been defined by a willingness to break the rules of Japanese business, rather than play the game. His story is popular because it juxtaposes a dashing lifestyle with the unflattering reality of corporate Japan. It would have been more realistic if Mr Shima had been forced to end his career parked at an obscure affiliate company in the hinterland.


辛口ですねー。
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# by a_villager | 2008-08-11 05:26 | 日常