初めての方は、このブログについて、をご覧ください。金融業界で働いています。毎日の気になった情報・ニュース・考えを載せていきます。友人・知人の皆さん、コメントの際にはハンドルネームで呼んでくださいー。


by a_villager

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世界を理解しろと


会社の上司から常日頃言われてます。今の金融市場・世界経済でおきている出来事を理解しろと。

その一環として、日経新聞とイギリスのFinancial Timesには毎日目を通せと指示を受けました。今、Wallstreet Journalをネットで購読しているけど、それよりもFTだと。Financial Timesは1年で10万円くらいする結構高い新聞だけど、上司が読み終わったヤツをもらって読んでみると、なるほど、日経よりもWSJよりも、記事の数は少ないけど、1つの記事あたりの分析の深さ・情報密度は高い気がする。先週からは上司からタダでももらって帰りの電車で読んでますw

それと、毎日の会社のグローバル・ヘッドの30分のマーケット会議を聞いてそれをまとめろという訓練も指示されてます。全世界の金融市場で現在進行している出来事を理解・フォローして、それが自分の仕事に対して、どういう意味を持つのか、どういうアイディアを得ることができるのか。日本の製造業の売上げ、利益、今後の利益率の成長の大きな部分が海外にある以上、日本の経済だけをフォローしたのでは、包括的な理解は不可能とのことなのでしょう。

先週1週間のニュースから興味をもった記事をいくつか。

日経新聞6月23日 簿外の運用会社SPCを、アメリカの金融機関が連結対象に。

米財務会計基準審議会(FASB)が来年初めにも、今までアメリカの市場で上場している金融機関の簿外にあった特定目的会社(SPC)のB/Sを親の金融機関のそれと統合して公開するよう要求するとのこと。3月末でシティグループは1兆1千億ドル(円じゃないよ、ドルだよ!)、昨年末でJPモルガンは4千億ドルもの、SPC資産を持っているとか。シティの資産によるとアメリカ金融機関全体のSPC資産は5兆ドルだとか(日本のGDPですね。。。。)

それらが本体のB/Sに登場することによって、BISが定めた自己資本比率を確保するための資本追加や資産売却、さらに今まで見えなかった黒いものが見えるようになることによって金融機関がさらに売られるなど、嵐はまだまだ続きのかなと。


日経新聞 6月24日 不動産大手5社、SPC連結化すると自己資本比率4ポイント低下

上の記事とダブりますね。5社の中でも特に影響が大きいのが、住友不動産(15→12%)、東急不動産(19%→11%)。先週のスルガのデフォルトなどと合わせて、この業界には注目する必要がありそうですね。


Financial Times 6月26日 Gone by the board? - Why the directors of big banks failed to spot credit risks

なんで大手金融機関の取締役は、この危機を予見できなかったのか、対策を取ることができなかったのかということについて書いた記事。言い訳の一つには、取締役(特に社外取締役)は会社のCEOのパフォーマンスやインセンティブをモニターリングするのが仕事で、そういう投資金融商品のリスク分析はリスク分析マネジャーの仕事だという話。後は、そもそも取締役は金融機関での経験が殆どないのが大部分で、自分の会社が何をやっているのか理解できないし、現場の人が取締役を言いくるめるのは簡単だという話。それに、SOX法によって規制が厳しくなったり、訴訟リスクが高くなった金融機関の取締役に、金融市場経験者がなりたがらないという事実もある。仕事はきついし、訴訟は怖いし、それに給料も低いしで。なるほど。ってなると、金融機関を監視する今の取締役のシステムは何とかしなきゃという話になりますね。どうするんでしょう。


Financial Times 6月26日 New breed of adventures enters the high sees


ヘッジファンドが直接タンカーの運営に乗り出してきたっていう話。ここ数年の海運の需要圧迫による利益が美味しい+これから先の発展途上国の成長から収益が上がるとの見通しからなのだが、海運業界のその悪名高い激しい市況波にはどう対応するんだろう。過去2年くらいの利回りが2桁だからといって、それが美味しい商売と見るのは危険でしょうね。しかし、興味深い話です。


Financial Times 6月27日 Swiss look to leverage ratios in quest to go back to basics (by Gillian Tett)

UBSがこの嵐で盛大に血を吐いたのを契機に、スイス中央銀行が今までのリスク指標、つまり金融資産ごとにリスクのウェイトを定めて、その資産額の加重平均に対して一定比率の自己資本を求める手法から、加重平均をやめて、普通の全平均を採用しようとしているという話。コンピュータオタクが計算した、意味不明な金融商品のリスクウェイトを信じて痛い目を見るより、効率が悪くても、保守的で誰でも理解できる手法にしようという。これが実現したら、分母のリスク資産総額は増えるだろうから、一定の自己資本比率を確保しようとするなら、資本注入か、資産を減らす(経済における信用を減らす)ことになるんでしょうね。

最初の記事と合わせて、世界経済における信用が縮小する方向に規制当局が動いていますね。怖い怖い。これからはこの動きからは目が離せませんね。
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by a_villager | 2008-06-29 18:16 | 投資

少しずつ感じること


この頃、仕事に慣れない+電車での通勤時間に取られて時間が足りないせいで、あまりまとまった本が読めていないから、書くことが仕事のネタばかりに。。。

この頃、すこしずつだけど、感じられるようになったことは、ちゃんと教育をしてくれて、ある程度は将来の活躍を期待されているということ。

今の自分の状況は、自分含めて3人チームにいるのだが、他の2人はディレクターで、1人がロンドン、1人が東京にいる。だから、超のつく小数部隊。そんな上司の仕事の手伝いをしながら勉強しています。

僕が作った仕事をロンドンに送信すると、5分後にいきなり電話がかかってきて、電話越しに仕事のファイルを指して、どこをどう改善したらいいか、どういう理由でこういう風に教科書とは違う考え方で物見るのかを教えてくれる。しっかし、電話越しのイギリス英語は聞きづらかったww

それと、個人的に今日衝撃的だったのは、外の会社を訪問した際に(こう書くと職種がバレるが、まぁいいっかw)、相手方の目の前で僕の意見を求めてきたこと。まだ入社して2週目なのにね。その時はキョドって、ない、って言ったけど、帰りの電車の中で、自分の感じたこと・考えたことを上司にぶつけていろいろとフィードバックをもらったりした。彼自身のモノの考え方、見方をいろいろと伝えてくれている感じがすごくした。そういえば、今日あたりから、グローバルのテレビ電話のディスカッションで僕の意見を聞いてきた。

そいで、上司が帰る直前には、僕に夏の読書リストなるものを送ってきた。英語の本が15冊くらいあった。。。ちょっとビビる時もあるけど、こういう風に集中力・時間を入社したて、新卒の自分に投資してくれるのは本当に嬉しいものです。明日の自分が今日よりもさらに上達しているように頑張ってそれに応えたいものです。
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by a_villager | 2008-06-23 23:03 | 日常

最初の1週間を終えて


最初の1週間を終えて感じたことを。。。

比較的特殊な会社の中にあっても、自分の入社状況(初日から怒涛の仕事、オリエンテーションは完全に3週間後に延期)は特殊すぎるらしい。

とはいいつつ、昔独学で勉強したお陰で初日から何とか仕事についていけたと思う。(上司のSplendid!!っていう言葉を額面どおりに受け取るならw)

そのお陰なのか、1ヶ月後の海外研修が3週間延びることに。研修っていうか、その伸びた3週間は海外オフィスの現地チームに入って仕事をすることに。うー、っていうことで、日本の夏を3連続で、花火大会を3連続で逃すことになります。しくしく。

毎日が目一杯スケジュールが詰まっていて、息を落ち着ける暇も無い。だけど、仕事はできるだけ12時間に抑えることに成功。これからもそうしたいし、会社の先輩などもそういう規律と集中力のある仕事を望んでいるみたい。

通勤時間が往復3時間だから半端なく時間を浪費している。電車の中で本や新聞は読むものの、やはり集中力がかなり落ちている。仕事の外での勉強時間をどういう風にやりくりするかが今後の課題。

1日6時間睡眠は今のスケジュールでは何とか確保できている。

来週以降の課題は、電車の中での時間を新聞をくまなく読む以上に生産性のあることに使いたい。

全体として、予想以上に自分のやりたいことにフィットして、予想以上に楽しい仕事でよかった。上司は皆、鬼のように頭が切れてて知識も半端なくあって、常に傍にいて、常に仕事や質問を浴びせかけてくるから、とてもいい学習環境にあるのも嬉しい。

毎日の仕事の質・量を、前日のそれらと比べて少しでもいいから上げられるようにしたい。
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by a_villager | 2008-06-22 00:51 | 日常

仕事


出社初日、オリエンテーションが1週間後に延期になり(笑、最初の週は仕事ですといわれましたw

会社のPCの使い方がまだわからないのに、隣に座っている上司から仕事が送信されるカオスっぷり。

2日目が終わり、仕事のペースもなかなか上がったかな。上司はとりあえず満足で、早めに帰宅できた。

仕事の様子を例えると、まさに徒弟制度。。。技は見て聞いて盗めと言わんばかりの。

カオスな社会人生活スタートだけど、上司たちの頭の切れっぷり・知識量の多さに圧倒する毎日(2日)だった。

今の調子だと、明日は新しい種類の仕事を振られるかな。

一部の友人にしかわからないかもしれないけど、仕事中のテンションは10月中旬にある例のイベント前日23時のそれです。

とりあえずは、できるだけ水面から顔を出せるよう頑張って、その間に新しいことを少しずつ吸収・勉強していきたいですね。
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by a_villager | 2008-06-17 22:44 | 日常

心の準備


今日は、家でノンビリと仕事に関連する本を読んで、外で仕事道具(とはいっても、ペンや、ノートなど)を買ってきた。

今使っているボールペンは就職活動の際に色んな会社からタダでもらった会社の名前入りのヤツ。。。さすがに血を血で洗うようなライバル企業の名前が入ったペンを会社の中に持っていって仕事をするわけにはいくまい、と今日気が付いた。

入社する会社での状況がちょっと特殊で、仕事が始まる前からいろいろと困惑することがあるけど、それに非常に競争の激しい業界でやっていけるのかという不安もあるけど、でもこの仕事が長い間、ずっとやりたかった仕事なのは間違いが無い。それに少なからずとも心の中に、自分ならできるという気持ちがあるのも否定できない。そのための苦労も厭わない覚悟もある。

という、色んな期待・不安が入り混じった気持ちで毎日を過ごしている。両親も含めて周りの人たちからは楽観的なアドバイスをもらうし、自分でもそこまで悪い状況ではないだろうと思うのだが、でも難しい気持ちだ。

こういう気持ちになるのはいつ以来だろう。大学院留学のときに、初めて英語圏に足を踏み入れたときかな。あのころのほうが不安のほうが大きかったかもしれない。

色んな困難にあたることはあると思うけど、でも、英語も全然喋れず、歴史とかの文系科目なんて大学時代、全然勉強していなかったのに、いきなりディスカッション重視の大学院の授業に放り込まれた、あの2年前に比べたら状況は楽観視できるかもしれない。

ちなみに、今日はこの投資の世界で欠かすことのできない古典を読んでいる。4年以上に前に買って読んだときに引いたマーカーとは別に赤線を引きながら読んでいるのだが、4年前、いいところにマーカー引いたなぁ、センスあるなぁ、と思う部分がある一方で、昔と今とで同じ本の中でも重視するところ、勉強になるところが違ったりする部分もあり、それも面白かった。

仕事をして1年後とかに読んだら、どういうところに新しい線が引かれるんだろう。それも、今から楽しみ。

賢明なる投資家 - 割安株の見つけ方とバリュー投資を成功させる方法
ベンジャミン グレアム / / パンローリング
ISBN : 4939103293
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by a_villager | 2008-06-14 23:49 | 日常

入社に向けて、少し勉強


昨日今日は、間近に迫った入社に向けて、会社から配られた参考書を読んでた。本を読むのはまぁ、そこまで苦痛じゃないんだが、問題は会社から事前に配られた金融電卓の操作を憶えるのが面倒。

会社から配られたのは、hp12CというHewlett-Packard社の金融電卓なのだが、今まで自分が使っていたのはTexas Instrument社のもの。基本的に金融業界で使う電卓はこの2社のものがスタンダードなのだが、運が悪いことに会社の方針と違うものを今まで知らずに使っていたらしい。。。ということで、一から電卓の使い方を習うことに。

入力が普通の電卓とは違って、逆ポーランド法になっているし、利回りや正味現在価値、各期の支払、債券価格の計算などなど、金融業界で使うであろう計算機能の使い方を憶える。心なしか、TI製のものよりも計算速度が遅いような。。。利回りの計算など20秒くらいかかるものもある。TIのだと、10秒以内で済んだ気が。。。

プログラミング機能もあるのだが、正直なところ、そういうのを使う部署(債券とか)には最初は配属されないだろうから、パス。TIの電卓での経験があるからなのか、数時間で大半の機能の使い方を憶えた。残りの機能は、必要なときに、使って行くうちに憶えるでしょう。

入社直後のスケジュールを先日知らされたが、どうみても新卒新入社員がやることではないようなスケジュールになってた。目が回るような毎日になるでしょう。泳げない人をヘリから海に放り込むOJT。。。。
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by a_villager | 2008-06-13 00:54 | 日常

和訳版のタイトルの品の無さにビックリ。。。

カリスマ・ファンド・マネージャーの投資極意
アンソニー・ボルトン / / 東洋経済新報社
ISBN : 4492732411
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イギリス・ヨーロッパ大陸で上場している中・小型のバリュー株に投資しているフィディリティのファンドマネージャー、Anthony Boltonについての本。同ファンドは26年間に渡って平均して年率20%を超え、ベンチマーク指数を年率で6.6%も上回った、という気絶しそうなくらいの業績を上げている。殆ど大部分のファンドは、一般的なベンチマークを超えることができないといわれている中で、四半世紀にも渡って、これを達成してきたっていうのは、驚くしかない。。。

細々とした運用成績の分析・解説は本に任せて、そんなことよりも、自分が印象に残った箇所をいくつか。

・一般的に言って、今日の株式市場は木を見て森を見ないところがあります。小さな木と木の間の非効率性から小さな利益を得るのに忙しく、森全体の価格の非効率性に気がつかないのです。(p.21)

・長年の間に気が付いたことは、景気が悪いときにいちばん損をしたのは貸借対照表が脆弱な企業であるということでした。(p.31)

・私のアプローチのいちばんの確信は将来修正されるであろう投資の非効率性を探し出すことです。それが修正されたら、次の非効率性の探求に目を移します。(p.49)

・他の人より良い成績を上げたければ、他の人とは違うものを保有しなければならない。期待に応えるように市場を上回る運用をしたければ、市場に固執すべきではない。市場と同じものを保有すべきではないし、取引コストを考えて取引をたくさんすべきではない。(p.78)

・株式に対して感情移入せず、間違っていたらそれを認める覚悟が必要です。資産運用は夢中になりやすいビジネスです。常に変動し、常に問題が発生します。変化する環境とともに変わらなければなりません。去年、または一昨年成功したからといってそれに執着している余裕はないのです。(p.106)

・最高のファンド・マネージャーは、強烈に働く能力と意欲があり、運用チャンスを探し出しそれを素早くかつ断固として行動に移す能力を持ち、そして他の人より先見の明がある、といいます。(p.168)

・ビジネスを動かす変動要因を理解する

企業の業績に影響を与える主な要素を峻別すること、中でも企業自体がコントロールできない為替レート、金利、税制変更などを見極めることで、株価を動かす要素を知ることができます。(p.183)

・気質というのは重要です。極端に欝症の人は運用担当者になることをおすすめしません。成功も失敗も冷静に見守ることが重要です。とは言っても、どうして過ちを犯したか、これを予測することはできたか?など、間違いを分析することには価値があります。(p.189)

言うのは簡単だけど、これをどこまで自分の分析・行動に取り込むか。謙虚さ、冷静さ、勤勉さ、こういう要素は色んな本で表現は変わっても、繰り返し言われてますね。さてさて、どれだけそれを身につけることができるんでしょうか。怖いけど、楽しみでもありますね。
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by a_villager | 2008-06-11 01:57 | 投資

アメリカにいたときに目に留まって、でも買う機会がなくて、日本で和訳版を買って読んだ。ずっと金融機関のリスクマネジメントに携わっていて、しかもキチンとした経済学の訓練も受けているからなのか、現場に状況を、非常に細かいところまで分析して記述していて勉強になる。この内容で2400円は安いですね。

市場リスク 暴落は必然か
リチャード・ブックステーバー / / 日経BP社
ISBN : 4822246671
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昨日、Lehman Brothersが大規模な損失を発表しましたね。まだまだ嵐は続きそうですね。自分が持っている怪しげな商品をどうやって評価するのか、どの程度厳しく評価するのか、その基準が皆同じとは思えない。意図を持ってそのような評価をしているのか、それとも正しく評価する術がないのか。今まではそんな商品を作ってきた・売ってきた会社がヤバイ目に遭ってきたけど、そういうのを買ってきた会社はどうなんだろうなー、と思うこの頃。そういうのを正しく分析できるようになりたいですね。

それはさておき、本の中で目に留まった部分を。。。

・市場が危機に陥ると、資産間の相関の絶対値は1に近づく。問題は、どのような場面でも、相関が正になるか負になるかを事前に予測できないことである。ある特定の資産が結果的に別の資産のヘッジになるかもしれないし、リスクが倍増することになるかもしれない。(p.49)

・危機に陥ったときのトレーダーの行動について。損失が出ているポジションを修正することを阻む慣性、もっと具体的にいうなら、予想外のところから生じる損失に直面したときの慣性である。実験生物学では、こうした現象を「実験神経症」と呼ぶ。実験室の動物は、これまでに経験したことのない未知の環境や出来事にぶつかると、ボールのようにただ体を丸めて、刺激を完全に無視するようになることがある。(p.129)

・Long Term Capital Management崩壊の最後の引き金を引いたのは、流動性機器だった。8月にロシアが事実上のデフォルトを宣言したことで、LTCMは資産を売却する必要に迫れたが、市場はまったく機能しなかった。そして、流動性が消滅した理由をさかのぼっていくと、1つの出来事にたどりつくことができる。ソロモン・スミス・バーニーがアメリカ債券自己売買部門の閉鎖を明らかにした、あの7月6日の発表である。(p.161)

・流動性があるということは、いつでも価格を決定できて、即座に現金化できるということである。それは担保をとって融資をしようという金融機関の意欲が高まることを意味する。資産の流動性が高いと、借り入れはしやすくなるが、危機の媒体も生み出すことになる。(p.163)

・収益機会が最も大きいのは、モーゲージ市場のように、より複雑で、モデルエラーが生じる、潜在的な危険性の高い至上や、揺籃期にあるために、相対的な流動性や安定性がきわめて低く、モデルの裏づけとなる経験もほとんどない市場である。(p.176)

・流動性が確保されていることは、投資ポートフォリオにとって望ましい特製であるのは間違いないにもかかわらず、皮肉にも、そうした特製こそが流動性危機のサイクルの源流になるからである。LTCMが、資産の価格が秒刻みで発表されず、在庫を即座に市場で売却できず、在庫の性質が広く知れわたっていない会社であったなら、LTCMを破綻に追いやり、世界中の市場にパニックを伝播させた下降サイクルが起こることはなかっただろう。(p.191)

・銀行がほかの地域で資産を投売りしてエクスポージャーを減らす未知を選べば、混乱がほかの市場に飛び火して、局地的な危機が世界機器へと発展するおそれがある。ほかの地域の銀行にとっては、自国市場が明白な理由もなく急落することになる。そして、切迫した状況に置かれていた銀行がたまたまその地域の資産も保有したというだけの理由で、危機が伝播していくのだ。(p.249)

・当市市場への資金の流れはきわめて重要な意味をもつ。どの種類の投資家が買い持ち、売りもちしているか、そして、レバレッジをかけすぎていそうな投資家がどれだけいるかを判断する手がかりになるからだ。(p.283)

原書のタイトルは、A Demon of our own Design、つまり自分たちが作り出してしまった悪魔、市場をここまで高度に発展・連結させてしまったからこそ発生するようになったリスクのことを意味している。

正常な状態でスムーズに動くように設計されているシステムも、一旦想定外の出来事が発生すると、その前提が崩れてシステムが予想外の方向に動くことがある。その上、全部の市場が高速が情報網で連結されているから、その伝播のスピード・規模がきわめて速く、危機的な状況を招くこともある。

個人的には、グローバルな投資家(個人投資家、年金基金、ヘッジファンド含めて)のポートフォリオの状況を大まかな形でも把握しておくことが重要かもしれないと感じた。ある、全く関連のないような出来事が他の市場で起きたときに、それらの投資家が自分の見ている市場でどのような行動に出るのか、どういう風に彼らのポートフォリオが調整されていくのか、そういうことに考えを巡らせておくことが重要かと。上流で大雨が続いて水位が上がっているダムの目の前で突っ立っているな状況にはなりたくないね。

今の金融市場の嵐は大変だけど、こういう状況から何を勉強できるかが重要だって、先生に言われました。
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by a_villager | 2008-06-10 10:22 | ファイナンス

アフリカ 苦悩する大陸


大好きなThe Economist誌の記者が書いた、発展に向けてアフリカの抱える問題点を書いた本。本屋でふと目に留まって買ったが、正直洋書のほうがよかった。カタカナで色んな名前・地名を書かれるとすごく読みづらい。しかも、カタカナから英語表記への変換が自分は上手くできないから、何かをさらに自分で調べようとしたときに困る。しかも洋書のほうが安いと来たもんだ。。。

アフリカ苦悩する大陸
ロバート・ゲスト / / 東洋経済新報社
ISBN : 4492211772
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まとめると、アフリカの抱える課題は、政治にある。腐敗、司法システムの不備、部族対立を煽る政治家、植民地支配・外国人に全部の責任を押し付けようとする姿勢、それらによって発生する起業家精神の衰退、インフラ整備の遅れ、教育投資の少なさ、民主主義の基盤の脆さ、援助に対する依存などなど。そして油を注ぐように、アフリカ大陸にある天然資源が問題を悪化させる。興味をもった箇所をいくつか。。。

・多くの戦争の原因が経済にある。貧困が戦争を生んでいるらしい。世界で最も貧しい6分の1の人々が、世界の内戦の5分の4を耐え忍んでいる。(p.47)

・アンゴラはサハラ以南アフリカではナイジェリアに次ぐ産油大国だ。しかし大西洋のアンゴラ沖で石油が発見された当初に比べて、国民の大部分は貧しくなっている。(p.58) アンゴラでは、石油は国内総生産の半分を占め、税収のほとんどすべてを賄うといってもいい。(p.63)

・アフリカの貧困の一つの原因は、人々が自分の資産を流動資本として活用できないことにあるからだ。家を持っていても、たいてい権利証書がないから証明できない。証明できなければ家を担保に銀行から金を借りることもできない。だから資本を手にできない。(p.72)

・一貫した所有権のシステムが確立されていると、知識を共有することもできる。家屋、企業、その他の資産の所有権と価値の記録が集中的に管理され、誰もが自由に閲覧することができれば、遠隔地にあるビジネス・チャンスを見つけること容易になる。つまりフォーマルな財産法があれば、赤の他人とでも取引ができる。(p.80)

・アフリカの政治と部族主義の問題を解き明かすには、「部族主義」という概念を少し広く考えてみると良いだろう。部族主義、人道主義、派閥主義が交じり合ったものと理解してみるのだ。この3つの概念にはそれぞれ違いがあるが、今はその差異よりも共通点が重要だろうーつまり、偏見だ。何をやったかではなく、特定の集団に所属しているというだけで相手を攻撃したりする。人は様々な身勝手な理由で他人を憎むものだが、身勝手な政府はそこにつけ込もうとするのだ。(p.119)

・世界のどこを見ても、差別是正のための逆差別政策は、ほんの一握りの人々の生活しか改善しないことは明らかだ。しかもわずかな改善のために、人種間の緊張がむしろ激化しー逆差別で損をする人々の恨みを買うのだからー、経済成長の足も引っ張るという代償を払わされるのだ。(p.159)

・富裕国の農業補助金は1日約10億ドルになる。これはサハラ以南のアフリカ全体の国内総生産とほぼ同じだ。補助金のおかげで富裕国の農家は自国の消費者が食べきれないほど生産する。するとこの余剰分の多くはアフリカの市場に回されて、アフリカの生産物価格を引き下げ、アフリカの農家の利益を奪ってしまうことになる。(p.190)

・(ジンバブエと南アフリカの関係について) (南アフリカ大統領のムベキは)あまりジンバブエ大統領のムガベにプレッシャーをかけすぎて、野党が政権を奪取するきっかけになることをムベキ氏は恐れているのかもしれない。ジンバブエの野党のルーツは労働運動になる。そして(南アフリカ与党の)ANC政権を脅かす可能性があるのも、やはり労組なのだ。南アフリカの労組は今のところ連立政権のメンバーだが、最近は苛立ちを募らせている。(p.281)

原著が書かれたのは2004年のころだから、今の商品価格の高騰を反映していないと思うけど、今、石油や貴金属の輸出で潤ったそういったアフリカ諸国がその資金をどういう風に使うのか、気になるね。中国のアフリカでの資源外交も興味がある。以前、The Economist誌の記事で中国のアフリカでの活動は欧米諸国と比べてもそこまで悪くない、それどころか欧米より良い部分(地元労働者への待遇など)もあるとか。

商品市場の動向が今の経済に与える影響を無視することはできないから、その供給元・生産地であるアフリカを理解することにも価値があると思う。価格のチャートの下で何が起こっているか、いままでの歴史の中で何が行われてきて、それが今現在、これからの将来にどのような影響を与える可能性があるのか、考えることが重要かと。今、個人的にホットなのはジンバブエの大統領選挙ですね。後は南アフリカの経済の安定性。
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by a_villager | 2008-06-09 17:02 | アフリカ

株式投資に関する有名なベストセラー、A Random Walk Down Wall Street、の著者Burton Malkielが中国の長期的な経済発展・中国株式投資の魅力について書いた本。

From Wall Street to the Great Wall: How Investors Can Profit from China's Booming Economy
Burton G. Malkiel / / W W Norton & Co Inc
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いくつかの課題はあるものの、中国の政治経済が将来崩壊するという警告を発する人たちには反対して、長期的な中国の経済発展・政治の安定性について、Malkielは楽観的な姿勢を取っている。

良い部分、悪い部分の衝撃的なストーリーではなくて、比較的客観的なデータを使いながら今までの中国の経済発展とその現状を説明しているところが非常に面白かったし、これからもいろいろと参照する上で助けになると思う。いくつか、興味をもった点を。。。

・中国国民は今現在、世界における高価な嗜好品の売上げの12%担っている。Goldman SachsのアナリストJacques-Franck Dossinは、10年以内に中国は世界の高価な嗜好品の最大の市場になるだろうと見ている。(p.44)

・中国政府は巨大で発展性のある国営企業を民間市場での競争に放つときに、毛沢東時代の独占体制による悲劇の教訓から、それらと対抗できるような競争企業を作りだし、お互いに競争して民間市場を活性化させるように努めた。例として、China Mobileに対抗して作られた、China UnicomやChina Telecom、China Netcomなどを挙げている。(p.57)

・中国の今ままでの一人っ子政策によるこれから少子化は子供一人当たりにかかる教育費の増加をもたらし、他の発展途上国と比較したときの中国の義務教育制度の充実ぶりから考えて、これから10年後、中国の人的資本の増加をもたらすだろう。(p.69)

・中国の銀行の不良債権が問題問題というけど、中国の銀行の支配的な大株主が国家だから、その不良債権も国家の債務として考えることができる。そうした場合に、中国の不良債権はGDPの25%、外貨準備残高の60%になり、アメリカの対GDP29%や日本の対GDP165%と比べてもそこまで深刻には見えない。中国当局が銀行システムのメルトダウンを許すわけもなく、よって、銀行の不良債権によって中国経済が崩壊するだろうという見方は根拠がないという。(しかも、外貨建てではなく、大部分が人民元建てだしね) (p.70)

・中国のこれからの経済発展の障害について、国家が上場されている企業の大株主になっている現状は、他の民間の株主の企業・取締役会に対する訴訟を困難にし、それによって健全なチェック機能の発展を遅らせている。(p..111)

・中国の株式市場の乱高下が極めて激しいのは、PER(=株価/一株利益)の変化が激しいから。上海のA株(中国国民向けの株)を見てみると、2001には48.30あったPERが2003年には32.98、2005年には18.42まで急激に下がっている。そのあと、2007年にはまた40まで上げっている。だけど外国人投資家向けのH株、N株にはそこまでの激しいPERの変化は見られず、それよりも企業の成長率の変化を反映した株価になっている。(p.154)

・中国政府は中国の石油大手Sinopecの経営を強くコントロールしている。政府は原油価格の国際市場での価格にあわせた変動は認めているが、Sinopecの製品であるガソリンなどの価格変動をコントロールしている。それによって社会・経済の安定を保とうとしているが、2004年から2006年までSinopecは商品を作るごとに損失を出す状況が続いていた。(これは今も、そうでしょうね) (p.204)

さすが有名な経済学者の書いた(共著した)本だけあって、主張をサポートする事実を多く盛り込んでいる。これが中国の経済を完全に映しているとは思わなくても、この本に書いてあることを手がかりにして調査したり、今まで気がつかなかった・知らなかった視点を持つことには大きな価値があるでしょうね。

良い悪い、両方の意味で、これから中国を無視して、生活・仕事をしていくことは不可能でしょうね。
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by a_villager | 2008-06-08 12:32 | 中国