初めての方は、このブログについて、をご覧ください。金融業界で働いています。毎日の気になった情報・ニュース・考えを載せていきます。友人・知人の皆さん、コメントの際にはハンドルネームで呼んでくださいー。


by a_villager

カテゴリ:投資( 15 )

リスク:GIGO


今週の研修は会計。ひたすら会計。

とはいっても、会計法を勉強したり、貸借対照表を作ったりするのがメイントピックではなく(そういう練習もするけど)、会社と公認会計士が作った、監査法人が判子を押した財務諸表をどうやって読みこなしていくかを勉強している。

世の中の大部分の人が注目している(と思っている)財務諸表上の数字がどれだけ多くの、恣意的な仮定・判断の上に成り立っているか、どれだけ合法的・違法的な操作に対して脆弱かを勉強している。

世の中には色んな素敵で難しい数学モデルがあるけど、それに入れる数字そのものが会社によって恣意的に作られていたりして信頼性がないとなると、モデルが弾き出した結果の信頼性も疑問視される。よく言われるgarbage in garbage outになってしまう。計量モデルの大きなリスク・ファクターの一つだと考えていいと思う。

有名な情報ベンダー(某Bさん)とかの情報も、その分類の仕方が必ずしも正しいとは限らないし、適当とも限らない。そのベンダーの選択の正しさ・適切さを信頼して、自動的にデータをダウンロードしてモデルに打ち込んでも、どうなんでしょうか?と疑問を持ってしまう。数%の薄いマージンを計算して、それで勝負している場合には尚更のこと。モデルの限界というよりも、情報量の限界・信頼性ともいうべきなのでしょう。マージンが薄いほど、インプットのエラーがアウトプットに増幅して現れてしまう状況で、この問題に気づいている人が世の中の大多数とは思えない。

Creative accountingの本が欲しいなー。色んなルール違反・装飾の仕方を見なきゃ、対策の仕様もないからね。


ここ数年間で最低の食事を食べました。さすがはロンドン。なんで高いお金を払って、何も味がない料理を食べる羽目になるのか。どうやったら、あんな味のないものが作れるのか。あの味を食べ続けて人間は食欲を保てるのか。なんで、それにもかかわらず店は満員なのか。7つの海を制した大英帝国と、中国の帝国になんでここまで料理の味・種類の差が生じるのか。世界に名だたる大英帝国の一面を垣間見ました。
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by a_villager | 2008-07-23 07:05 | 投資

現実って何?


ということを考えさせられる記事でした。

Some blame the bean counters for finance industry woes

IHT July 1, 2008

会計のルールは現実の経済がより効率的に潤滑に働くために存在しているけど、もしこれが現実の経済を非合理的に表現して、それを谷底に落とすなら、一体何のためにあるのかなと。

現実を映すモデルである会計方式(現実の経済活動をある一定のルールにしたがって表現した貸借対照表)が、銀行の資産圧縮・信用収縮を引き起こして、現実の経済に深刻な影響を与えることにもなる。

実体経済と(会計ルールによって表現された)金融経済の間で相互方向の影響が働いている。しかも負ではなく正のフィードバックでもって。

モデルが違っているから、現実は大丈夫だからと、勇み足を出すと首が吹っ飛ぶ怖い状況ですね。

何が現実で、何が恣意的なルールで表現された架空の世界なのか。どちらか一方に重点を置くわけにもいかないでしょう。いつか、その双方を見て、その相互作用を考えて、正しい判断ができるようになりたいものです。
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by a_villager | 2008-07-03 22:40 | 投資

過去1年を振り返って

昨日の夜、正確には一昨日のWallstreet Journalで多くの(3つ以上の)記事がBear Market、つまり弱気相場の到来を書いていたが、先日に書いた会計基準の変更も併せて、世界経済、特にアメリカ経済、は非常に危険な状況にあると思う。何が起きてもおかしくないような。という状況なのに、夜8時にTVをつけると、アホな芸人がアホな番組をやってた。その場の笑い(全然笑いもしないけど)以外、何も残らない番組しかなかった。。。これでいいのかな、と悲しく思うときがあるんですね。

それはともかく、今日の帰りの電車でBISが発表した2007年のAnnual Reportを読んだ。過去1年にアメリカの住宅市場から端を発した金融・経済危機の一連の流れを、各セクターごとに追っている。今日は、金融市場と金融機関に関するセクション(VI.Financial markets、 VII.The financial sector in the advanced industrialised economies)を読んだけど、過去1年の危機発生の各ステージでどのようなシグナルが市場で見えたのか(後付でもいいと思う、今後の教訓に活かせるなら)。どういう経緯で一連の問題が発生したのかをまとめている。とても面白いし勉強になる。金融市場に興味のある人はどうぞ。

BIS 78th Annual Report

会社の上司から12月にCFA試験を受けるようプレッシャーをかけられている。自分の能力を伸ばすには、Stretch yourself to the point where you no longer feel comfortable、と上司は言ったんだけど、12月に試験を受けるとなると、今後の半年は今以上に忙しいものになるだろうな。当初の計画では来年の6月だったけど、12月にやってみようかな。。。
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by a_villager | 2008-07-01 22:43 | 投資

世界を理解しろと


会社の上司から常日頃言われてます。今の金融市場・世界経済でおきている出来事を理解しろと。

その一環として、日経新聞とイギリスのFinancial Timesには毎日目を通せと指示を受けました。今、Wallstreet Journalをネットで購読しているけど、それよりもFTだと。Financial Timesは1年で10万円くらいする結構高い新聞だけど、上司が読み終わったヤツをもらって読んでみると、なるほど、日経よりもWSJよりも、記事の数は少ないけど、1つの記事あたりの分析の深さ・情報密度は高い気がする。先週からは上司からタダでももらって帰りの電車で読んでますw

それと、毎日の会社のグローバル・ヘッドの30分のマーケット会議を聞いてそれをまとめろという訓練も指示されてます。全世界の金融市場で現在進行している出来事を理解・フォローして、それが自分の仕事に対して、どういう意味を持つのか、どういうアイディアを得ることができるのか。日本の製造業の売上げ、利益、今後の利益率の成長の大きな部分が海外にある以上、日本の経済だけをフォローしたのでは、包括的な理解は不可能とのことなのでしょう。

先週1週間のニュースから興味をもった記事をいくつか。

日経新聞6月23日 簿外の運用会社SPCを、アメリカの金融機関が連結対象に。

米財務会計基準審議会(FASB)が来年初めにも、今までアメリカの市場で上場している金融機関の簿外にあった特定目的会社(SPC)のB/Sを親の金融機関のそれと統合して公開するよう要求するとのこと。3月末でシティグループは1兆1千億ドル(円じゃないよ、ドルだよ!)、昨年末でJPモルガンは4千億ドルもの、SPC資産を持っているとか。シティの資産によるとアメリカ金融機関全体のSPC資産は5兆ドルだとか(日本のGDPですね。。。。)

それらが本体のB/Sに登場することによって、BISが定めた自己資本比率を確保するための資本追加や資産売却、さらに今まで見えなかった黒いものが見えるようになることによって金融機関がさらに売られるなど、嵐はまだまだ続きのかなと。


日経新聞 6月24日 不動産大手5社、SPC連結化すると自己資本比率4ポイント低下

上の記事とダブりますね。5社の中でも特に影響が大きいのが、住友不動産(15→12%)、東急不動産(19%→11%)。先週のスルガのデフォルトなどと合わせて、この業界には注目する必要がありそうですね。


Financial Times 6月26日 Gone by the board? - Why the directors of big banks failed to spot credit risks

なんで大手金融機関の取締役は、この危機を予見できなかったのか、対策を取ることができなかったのかということについて書いた記事。言い訳の一つには、取締役(特に社外取締役)は会社のCEOのパフォーマンスやインセンティブをモニターリングするのが仕事で、そういう投資金融商品のリスク分析はリスク分析マネジャーの仕事だという話。後は、そもそも取締役は金融機関での経験が殆どないのが大部分で、自分の会社が何をやっているのか理解できないし、現場の人が取締役を言いくるめるのは簡単だという話。それに、SOX法によって規制が厳しくなったり、訴訟リスクが高くなった金融機関の取締役に、金融市場経験者がなりたがらないという事実もある。仕事はきついし、訴訟は怖いし、それに給料も低いしで。なるほど。ってなると、金融機関を監視する今の取締役のシステムは何とかしなきゃという話になりますね。どうするんでしょう。


Financial Times 6月26日 New breed of adventures enters the high sees


ヘッジファンドが直接タンカーの運営に乗り出してきたっていう話。ここ数年の海運の需要圧迫による利益が美味しい+これから先の発展途上国の成長から収益が上がるとの見通しからなのだが、海運業界のその悪名高い激しい市況波にはどう対応するんだろう。過去2年くらいの利回りが2桁だからといって、それが美味しい商売と見るのは危険でしょうね。しかし、興味深い話です。


Financial Times 6月27日 Swiss look to leverage ratios in quest to go back to basics (by Gillian Tett)

UBSがこの嵐で盛大に血を吐いたのを契機に、スイス中央銀行が今までのリスク指標、つまり金融資産ごとにリスクのウェイトを定めて、その資産額の加重平均に対して一定比率の自己資本を求める手法から、加重平均をやめて、普通の全平均を採用しようとしているという話。コンピュータオタクが計算した、意味不明な金融商品のリスクウェイトを信じて痛い目を見るより、効率が悪くても、保守的で誰でも理解できる手法にしようという。これが実現したら、分母のリスク資産総額は増えるだろうから、一定の自己資本比率を確保しようとするなら、資本注入か、資産を減らす(経済における信用を減らす)ことになるんでしょうね。

最初の記事と合わせて、世界経済における信用が縮小する方向に規制当局が動いていますね。怖い怖い。これからはこの動きからは目が離せませんね。
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by a_villager | 2008-06-29 18:16 | 投資

和訳版のタイトルの品の無さにビックリ。。。

カリスマ・ファンド・マネージャーの投資極意
アンソニー・ボルトン / / 東洋経済新報社
ISBN : 4492732411
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イギリス・ヨーロッパ大陸で上場している中・小型のバリュー株に投資しているフィディリティのファンドマネージャー、Anthony Boltonについての本。同ファンドは26年間に渡って平均して年率20%を超え、ベンチマーク指数を年率で6.6%も上回った、という気絶しそうなくらいの業績を上げている。殆ど大部分のファンドは、一般的なベンチマークを超えることができないといわれている中で、四半世紀にも渡って、これを達成してきたっていうのは、驚くしかない。。。

細々とした運用成績の分析・解説は本に任せて、そんなことよりも、自分が印象に残った箇所をいくつか。

・一般的に言って、今日の株式市場は木を見て森を見ないところがあります。小さな木と木の間の非効率性から小さな利益を得るのに忙しく、森全体の価格の非効率性に気がつかないのです。(p.21)

・長年の間に気が付いたことは、景気が悪いときにいちばん損をしたのは貸借対照表が脆弱な企業であるということでした。(p.31)

・私のアプローチのいちばんの確信は将来修正されるであろう投資の非効率性を探し出すことです。それが修正されたら、次の非効率性の探求に目を移します。(p.49)

・他の人より良い成績を上げたければ、他の人とは違うものを保有しなければならない。期待に応えるように市場を上回る運用をしたければ、市場に固執すべきではない。市場と同じものを保有すべきではないし、取引コストを考えて取引をたくさんすべきではない。(p.78)

・株式に対して感情移入せず、間違っていたらそれを認める覚悟が必要です。資産運用は夢中になりやすいビジネスです。常に変動し、常に問題が発生します。変化する環境とともに変わらなければなりません。去年、または一昨年成功したからといってそれに執着している余裕はないのです。(p.106)

・最高のファンド・マネージャーは、強烈に働く能力と意欲があり、運用チャンスを探し出しそれを素早くかつ断固として行動に移す能力を持ち、そして他の人より先見の明がある、といいます。(p.168)

・ビジネスを動かす変動要因を理解する

企業の業績に影響を与える主な要素を峻別すること、中でも企業自体がコントロールできない為替レート、金利、税制変更などを見極めることで、株価を動かす要素を知ることができます。(p.183)

・気質というのは重要です。極端に欝症の人は運用担当者になることをおすすめしません。成功も失敗も冷静に見守ることが重要です。とは言っても、どうして過ちを犯したか、これを予測することはできたか?など、間違いを分析することには価値があります。(p.189)

言うのは簡単だけど、これをどこまで自分の分析・行動に取り込むか。謙虚さ、冷静さ、勤勉さ、こういう要素は色んな本で表現は変わっても、繰り返し言われてますね。さてさて、どれだけそれを身につけることができるんでしょうか。怖いけど、楽しみでもありますね。
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by a_villager | 2008-06-11 01:57 | 投資