初めての方は、このブログについて、をご覧ください。金融業界で働いています。毎日の気になった情報・ニュース・考えを載せていきます。友人・知人の皆さん、コメントの際にはハンドルネームで呼んでくださいー。


by a_villager

カテゴリ:ファイナンス( 6 )


もうTOPIXが2%下がったくらいじゃ驚きません。むしろ午後の市場の盛り返しに喜んでいたくらい。なんだかなぁー。

今日のFTのAnalysisセクションではAIGを扱っていて、とても面白かった。

Inadequate cover
FT
By Francesco Guerrera in New York and Andrea Felsted in,London
Published: October 7 2008 03:00 | Last updated: October 7 2008 03:00


カリフォルニアのアイスクリーム売りのCornelius Vander Starrが創設し、他の保険会社が扱おうとしなった分野、上海での中国人・中国ビジネスための保険の引受、に乗り込んだ会社がAIGだった。

その利益のある分野を開拓する企業文化を受け継いだHank Greenbergは事業を急速に発展・拡大、15%の利益率を目指し、NYSEでは最もパフォーマンスの良い企業の1つとなった。

最盛期には全世界で4300もの法人を傘下において、実質的にはGreenbergと一部の取り巻き以外誰もAIGの全貌を理解できなかったという。

そしてジャンクボンド市場を切り開いたDrexel Burnham Lambertからチームを引き継ぎ、AIGの巨大なバランスシートとAAAという最高の格付けを利用した低コストのファイナンスでリスクの高いビジネスを拡大した。

その中でも特に拡大したのがCredit Default Swapの引受け(実質的にはレバレッジをかけた債券投資に似た性質をもった商品)。2007年時点では、年間保険手数料収入が2000から2500億ドルなのに対して、4650億ドルの引受を持っていた。

2007年後半には、自社で使ってたCDSの評価モデルが甘い仮定・設計になっていることを会計事務所のPwCに指摘されて、それを修正。それによってCDSのポートフォリオの損失が10億ドルから50億ドルに急拡大。

その後は、ニュースの通り。


他の部門が何をやっているかしらないほど拡大した組織

個人に拠ったコントロール

他の部門のビジネスの恩恵を受けた(会社全体の高い格付けを利用した)高いレバレッジを使った投資

金融派生商品を評価すること、リスクをコントロールすることの難しさ


もう、今話題になっているテーマを全部盛り込んだストーリーですね。。。


ところでノーベル物理学賞、日本人が3人で受賞ですね。おめでとうございます。政治家が割り込んできて騒いでいたけど、研究成果が出たのが30年以上前ということを考えると、日本の基礎科学技術はすばらしいとか浮かれている場合でもないし、賞だけで今の理工学離れを引っくり返せると思い込んでいる場合でもないような。。。と、理工学からでんで離れたところで働いているワタシが言うことでもないんですが。。。
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by a_villager | 2008-10-07 22:37 | ファイナンス

今日は朝から雰囲気が暗かった。ドイツの大手不動産金融会社を巡るドイツ政府の対応、欧州の協調姿勢の乱れなどのニュースを朝会で確認してから、市場がスタート。

相場が下がっているのはわかっていたけど、極力Bloombergとかを見ないようにして昼休み、友人とちょっと贅沢な昼ごはんを食べるものの、帰ってから相場を見て愕然。。。。全体として4%くらい下がっていたのは驚きだったけど、個別銘柄の下げっぷりは本当にひどかった。化学や機械、資源、金融など、景気に敏感な銘柄は投売りされて、解散価値の6割くらいにまで下がったものもちらほら、もう会社なんてやってないで解散したほうがいんでない?っていうレベルまで株価が下がった会社(日本を代表するような会社が)もあった。

こんな下げを見ていたらお昼ご飯を戻しそうになった。上司も隣で、マジ吐きそうだよー、とか言っていたし。東京が終わったと思ったら、次は欧州市場のスタート、前場で5%くらいまで下げる驚きのスピード、チカチカと下げを更新するBloombergを見ていたら気分が悪くなった。結局、今日は仕事らしい仕事ができなかった。チカチカとなるBloombergばかり見ていた。


こんな愚痴を言っても仕様が無いのはわかっているけど、下げに次ぐ下げで、そこが全く見えない。アメリカで金融機関が爆発して、欧州でも爆発してその衝撃波をバシバシ食らっているうちに日本の実体経済も涙が出るくらいに悪くなりそうになって。。。仕事が終わるとグッタリ疲れて、夜遅いのに夕ご飯をヤケ食いして体のラインも悪くなるし。まったく。ここまで安らぎが欲しいと思う瞬間もない、っていうくらいの数週間(これからも続くでしょうが)だった。


先週のFTに面白い記事があった。日本長期信用銀行から新生銀行への転生を描いたSaving the Sunの著者、Gillian Tettのコラムが非常に面白かった。

The yawning information gap between bankers and the rest
By Gillian Tett
Published: October 2 2008 03:00 | Last updated: October 2 2008 03:00


アメリカの議会や国民から金融機関救済策への支援を得るのにここまで苦労したわけは、これまで金融業界が複雑になりすぎて、そして孤立しすぎて、外界とのコンタクト、コミュニケーションを絶ってきたからだと。金融業界は世の中の99.9%の人が金融業界が何をやってお金を儲けているか知らなくてもいいと思ってきたし、その一方で政治家も金融技術の進歩を理解しようとしせず、ただ、彼らがどうやったらそんなに簡単にお金を儲けられるか不思議に思うだけだった。金融の世界がこの10年でどれだけ革命的に変化したかを理解しようとしなかった。

その知識の不足と、金融業界が過去に上げてきた利益・報酬に対する記憶、そして色んな救済策の有効性に対する疑問、さらにはそれを指揮しているのが当の金融業界に君臨するGoldman Sachsの元会長ときているから、色んな不振、怒りが生じ、先週の議会での足踏みに繋がったと。

業種は違うけど金融業界で働く身としては考えさせられる内容ですね。。。

More specifically, during most of this decade, bankers have assumed that it was not just acceptable but also entirely normal to have a situation where 99.9 per cent of people had absolutely no idea how money flowed around the world. Twenty-first century bankers, in other words, have been acting like a BlackBerry-toting priestly class that assumed that only people who spoke the equivalent of advanced financial Latin should be allowed to attend Mass.

Meanwhile, politicians and voters, for their part, have been shockingly lazy in trying to understand finance - or even just asking why they were suddenly finding it so easy to get access to cheap cash. Much of the media has been remiss, too: most mainstream outlets all but ignored the fact that a revolution was under way in finance during the first seven years of this decade.

Now it is payback time. As the crisis has unfolded over the past year, most regulators, politicians, investors and voters have been left in a state of utter shock. One consequence of that has been irrational panic. Another is likely to be some equally irrational regulatory overeach.

However, the most pernicious problem is that many voters and politicians remain so confused about how finance works that they have no idea whether a bail-out is a good idea or not. All they do know is that the events of the past year have shown that modern finance is rife with complex interlinkages that are poorly understood, if not downright murky. Suspicions are rife that any bail-out for the banks will inevitably end up bailing out bankers, too, through all manner of hidden channels. Hence the wave of anger, and hence the difficulty that the US government faces in convincing voters that there is a difference between rescuing finance and helping fat cats.

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by a_villager | 2008-10-06 22:47 | ファイナンス

魔法の金融ワールド


国際決済銀行BISのカンファレンス用にDarrel Duffieが書いたワーキング・ペーパーを読んだ。DuffieはDynamic Asset Pricing Theoryっていう金融経済学の有名な本を書いた有名な学者(本のコピーは持っているが、1ヶ月くらいの長期休暇でも取れない限り、開く気にもなれない代物)


Innovations in credit risk transfer: implications for financial stability
by Darrell Duffie
Working Papers No 255, BIS


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このペーパーの中で信用リスクを移転することを可能にした金融商品(CDOとか)について述べている。詳細な数字を混ぜつつ、コンパクトに書いてあるから、思った以上に読みやすかった。

興味深かったのは、後半の部分。CDOの原資産(ローンとか、債券とか)は理想としては個々の相関が低く、そのために、それらを束ねることによって全体としてリスク分散が働いて、より価値の高い金融資産になるという、1+1=3みたいな状態。

でも実際には個々の原資産間の相関関係はかならずしも低いとは限らない。もし、これが完全な正相関にあると、1つの原資産がデフォルトを起こすと、全部の原資産がデフォルトになる現象が起きることになる。そして、その逆もまたしかり。そう言う状況では、CDOの上位層はその相関が上がるにつれて、上位層の価値も上がる仕組みになる。なぜなら、上位層は最初に支払い、解散価値を受け取るから。

その逆として、相関関係が下がるにつれて、価値が上がるのは最下位層。なぜなら、最下位層は上位層の支払(大抵、一定比率)の後の部分を総取りするから。

コールオプションに例えると、上位層は相関関係に対してショート・ポジションになっていて、最下位層は相関関係に対してロング・ポジションになっているともいえる。

で、問題はその原資産間の相関関係をどうやって正しく正確に推定するか。本来重要なはずのデータの質や、データの適当性について、実際の現場ではそれほど神経を使っていないみたい。(さらには、資産を流動化させることによって、その原資産の支払いを査定・モニタリングするインセンティブが銀行からなくなってしまっているから、過去のデータ、つまりそれらのインセンティブが存在していた状況でのデータを使うことの有効性すらも疑問になる) しかも、ある相関を推定したとして、それが上位層、中間層、下位層、など各層それぞれの価値評価に対して、どのような影響を及ぼすのか。それらの推定、モデリングの技術はまだまだ未発達だといわざるを得ないと。

これはMoody'sなどの格付け会社にも言えるが、投資家はそれらの評価が困難な金融資産のリスク評価を格付け会社に委ねてしまっている。本来、それらの新しい金融資産自体は、理論的には、リスクの再分配をして経済をより効率化させるはずだけど、それを正しく評価したり、使ったり、精製したりすることにはまだまだ多くの課題が残っていると。

そして論文の後に、大手債券投資会社PIMCOのボスの1人、Mohamed El-Erianのコメントがあって、こちらも非常に面白い内容になっている。意訳として。。。

新しい金融商品、もっと正確には多くの原資産を束ねて作る証券化商品が登場するにつれて投資家の視点、リスク評価は個々の原資産のリスク特製から、それらの束、つまり個々間の相関関係に移っていくことになる。

そしてそれらの評価は複雑であるために少数の格付け会社に委ねることになるが、問題は、それらの格付け会社がそれらの評価に十分な理解を持っているということになる。

リスクの評価は経済における資産の最適配分に大きく関る問題なので、これの問題は経済全体の成長にとっても大きな意味を持っている。

摩訶不思議な金融ワールドですね。。。困ったのは、こういう代物が金融機関以外の事業会社の中にも一杯入っているという事実。世の中がどんどん複雑になりますね。
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by a_villager | 2008-08-17 07:53 | ファイナンス

毎日1つ以上のことを勉強したい。そうなりたいとこの頃、真剣に思う。自分の上司が大学院を卒業して12年目で今の地位に立ち、今の知識・経験を手に入れいているのを見ていると、あと12年の間に自分にそれ以上のことができるか真剣に考えてしまう。12年なんてあっという間だから、1日1日無駄にはできないし、毎日何かしら成長した感じられるように過ごしたいもの。

昨日のFinancial Timesのコラムにジョージ・ソロスが投稿をしていた。こういう記事1つでも£2を払う価値はあるっていうもの。



A Danish fix for America's mortgage debacle
George Soros, Financial Times, Aug 12, 2008


この中で、今のアメリカの2つの住宅公社、ファニーメイとフレディマックを批判している。(ちなみに、コラムの最後に、ソロスのファンドが2つの公社の株に対して売りポジションを取っていることも明記している)

2つの公社は必要とあらば政府から白紙の小切手をもらって生き残ろうとしているのに、その経営陣は今の地位に残っているままで、しかも、今の資本不足の状態では、彼らは自信に与えられた、アメリカの住宅市場に安定した、流動性のある、手ごろな資金を供給するという使命を果たせない。

この危機を乗り越えるために2つの住宅公社は貸出先を信用履歴の良い貸し手に絞って、新規ローンの質を上げようとしている。これによって、彼らは住宅ローンのコストを大きく上げ、また貸し出しの基準を絞っている。

問題は、これらの公社が住宅ローンの市場の中で大きくなりすぎたことにある。過去1年の間に2つの公社の新規住宅ローンの市場シェアは倍増し、80%に至っている。これによって、ローンの質を上げようとする行動が、住宅の買い手の新規ローンの入手を困難にし、住宅の需要を減らす結果をもたらしている。

その結果として需要不足によって住宅価格の下落が止まらず、公社のローン・ポートフォリオの損失を悪化させることに繋がっている。つまり、公社の行動は、自己破壊的な性質を持っている。公社を救おう、または延命させようとする努力によって、幅広い住宅市場の危機を更に悪化させている。

これら2つの公社はその経営リスクは公共セクター、さらには納税者が負担しているが、そのリターンは経営者と株主が得ているという歪な構造を持っている。

と、その後は、その解決法としてデンマーク債という特殊な債券を使うことだと述べているけど、読んでもちょっとわからなかったので今のところパス。

でも、住宅公社の行動が、その市場における規模のために、自己破壊的な性質を持つようになったというところは非常に勉強になった。経済は色んなところで繋がっていることと、価格は需要と供給によって決まるということ、これをいつも頭に入れておきたいもんですね。


今日の午前中に過去3週間苦しんできた資格試験を終えた。3年前に留学のために受験したTOEFLやGREと非常に似た教室・環境で3時間、155問の問題を解いてきた。

結果は来週にも判明するが、個人的にはある程度の楽観を持っていいかなと。70-75%が合格ラインだとして、間違えていい問題の数は保守的にみて、20%前後となるがそれだけ(30問)の問題に対して不安・不明感を感じたわけではないから。ま、とにかく終わったので、教科書、問題集を見えないところにしまいこんで忘れることにします。

明日からロンドンオフィスで研修+仕事。色んなチームの会議や、毎朝のグローバル会議に出席できるので、東京のチームとは違う見方が聞けるか楽しみだ。
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by a_villager | 2008-08-13 22:50 | ファイナンス

規律


明後日の試験の模試で95%を2回出してから勉強がマンネリ化してきた。穴を埋めるだけの作業に飽きてきて、合間合間にニュースを読んだりしている。各分野の専門家のコラムを多国語(日本語はないw)で掲載しているProject Syndicateに、元IMFチーフ・エコノミストでチェスの世界王者(!!)のKenneth Rogoffの、今の金融危機についてのコラムがあったので、興味深く読んだ。

The End of Financial Triumphalism?
by Kenneth Rogoff


面白かったところは2つ。

1つ目は、政府は景気がいいとき、金融システムが調子よく回っているとき、さらには大手金融機関が儲かりまくっているときにこそ、適切な規制を真剣に考えるべきで、金融業界と一緒に調子に乗って納税者のお金を過剰にリスクにさらすべきではないと。

2つ目は、政府が時々、金融機関の破綻を許すことが株主、債権者、経営者に対して本当の規律を持たらすことにつながる。その点で言えば、とっくのとうにその経済的な役割を終えた2つの住宅公社を、アメリカ政府が白紙の小切手でもって救済しようとしているのはばかげている。

For governments, the key to success in regulating financial markets lies in maintaining reasonable constraints during boom times that prevent taxpayer funds from being put excessively at risk. Unfortunately, this is difficult to do, because boom times make people who warn of risks seems like doom mongers. That is why it is so important that governments allow financial firms to fail occasionally. That is the only way to impose real discipline on shareholders, bondholders, and corporate leaders.


中央銀行の役割は、パーティが一番盛り上がっているときに、お酒の入ったボールを取り上げることだと言ったのは、FRBのポール・ボルカー(グリンスパンだったかな?ww)だったけど、中央銀行だけでなく、政府、議会にもそういう姿勢は必要なのかも。

産業界、経済が熱狂しているときに、それに逆らう行動をするっていうのは、民主主義の上になりたっていて、常に有権者のプレッシャを受けている議会、そして政府には難しいのかもしれないけど。。。

Financial innovation ought to be allowed to flourish, but not without better checks and balances. Otherwise, we will be forever trapped in a framework where taxpayers are forced to bail out banks in bad times, while wealthy shareholders reap huge profits in good times. It is time to leaven financial triumphalism with some humility and common sense.


金融業界で働いているけど、これは残念ながら正しいと思う。。。
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by a_villager | 2008-08-12 00:36 | ファイナンス

アメリカにいたときに目に留まって、でも買う機会がなくて、日本で和訳版を買って読んだ。ずっと金融機関のリスクマネジメントに携わっていて、しかもキチンとした経済学の訓練も受けているからなのか、現場に状況を、非常に細かいところまで分析して記述していて勉強になる。この内容で2400円は安いですね。

市場リスク 暴落は必然か
リチャード・ブックステーバー / / 日経BP社
ISBN : 4822246671
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昨日、Lehman Brothersが大規模な損失を発表しましたね。まだまだ嵐は続きそうですね。自分が持っている怪しげな商品をどうやって評価するのか、どの程度厳しく評価するのか、その基準が皆同じとは思えない。意図を持ってそのような評価をしているのか、それとも正しく評価する術がないのか。今まではそんな商品を作ってきた・売ってきた会社がヤバイ目に遭ってきたけど、そういうのを買ってきた会社はどうなんだろうなー、と思うこの頃。そういうのを正しく分析できるようになりたいですね。

それはさておき、本の中で目に留まった部分を。。。

・市場が危機に陥ると、資産間の相関の絶対値は1に近づく。問題は、どのような場面でも、相関が正になるか負になるかを事前に予測できないことである。ある特定の資産が結果的に別の資産のヘッジになるかもしれないし、リスクが倍増することになるかもしれない。(p.49)

・危機に陥ったときのトレーダーの行動について。損失が出ているポジションを修正することを阻む慣性、もっと具体的にいうなら、予想外のところから生じる損失に直面したときの慣性である。実験生物学では、こうした現象を「実験神経症」と呼ぶ。実験室の動物は、これまでに経験したことのない未知の環境や出来事にぶつかると、ボールのようにただ体を丸めて、刺激を完全に無視するようになることがある。(p.129)

・Long Term Capital Management崩壊の最後の引き金を引いたのは、流動性機器だった。8月にロシアが事実上のデフォルトを宣言したことで、LTCMは資産を売却する必要に迫れたが、市場はまったく機能しなかった。そして、流動性が消滅した理由をさかのぼっていくと、1つの出来事にたどりつくことができる。ソロモン・スミス・バーニーがアメリカ債券自己売買部門の閉鎖を明らかにした、あの7月6日の発表である。(p.161)

・流動性があるということは、いつでも価格を決定できて、即座に現金化できるということである。それは担保をとって融資をしようという金融機関の意欲が高まることを意味する。資産の流動性が高いと、借り入れはしやすくなるが、危機の媒体も生み出すことになる。(p.163)

・収益機会が最も大きいのは、モーゲージ市場のように、より複雑で、モデルエラーが生じる、潜在的な危険性の高い至上や、揺籃期にあるために、相対的な流動性や安定性がきわめて低く、モデルの裏づけとなる経験もほとんどない市場である。(p.176)

・流動性が確保されていることは、投資ポートフォリオにとって望ましい特製であるのは間違いないにもかかわらず、皮肉にも、そうした特製こそが流動性危機のサイクルの源流になるからである。LTCMが、資産の価格が秒刻みで発表されず、在庫を即座に市場で売却できず、在庫の性質が広く知れわたっていない会社であったなら、LTCMを破綻に追いやり、世界中の市場にパニックを伝播させた下降サイクルが起こることはなかっただろう。(p.191)

・銀行がほかの地域で資産を投売りしてエクスポージャーを減らす未知を選べば、混乱がほかの市場に飛び火して、局地的な危機が世界機器へと発展するおそれがある。ほかの地域の銀行にとっては、自国市場が明白な理由もなく急落することになる。そして、切迫した状況に置かれていた銀行がたまたまその地域の資産も保有したというだけの理由で、危機が伝播していくのだ。(p.249)

・当市市場への資金の流れはきわめて重要な意味をもつ。どの種類の投資家が買い持ち、売りもちしているか、そして、レバレッジをかけすぎていそうな投資家がどれだけいるかを判断する手がかりになるからだ。(p.283)

原書のタイトルは、A Demon of our own Design、つまり自分たちが作り出してしまった悪魔、市場をここまで高度に発展・連結させてしまったからこそ発生するようになったリスクのことを意味している。

正常な状態でスムーズに動くように設計されているシステムも、一旦想定外の出来事が発生すると、その前提が崩れてシステムが予想外の方向に動くことがある。その上、全部の市場が高速が情報網で連結されているから、その伝播のスピード・規模がきわめて速く、危機的な状況を招くこともある。

個人的には、グローバルな投資家(個人投資家、年金基金、ヘッジファンド含めて)のポートフォリオの状況を大まかな形でも把握しておくことが重要かもしれないと感じた。ある、全く関連のないような出来事が他の市場で起きたときに、それらの投資家が自分の見ている市場でどのような行動に出るのか、どういう風に彼らのポートフォリオが調整されていくのか、そういうことに考えを巡らせておくことが重要かと。上流で大雨が続いて水位が上がっているダムの目の前で突っ立っているな状況にはなりたくないね。

今の金融市場の嵐は大変だけど、こういう状況から何を勉強できるかが重要だって、先生に言われました。
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by a_villager | 2008-06-10 10:22 | ファイナンス