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by a_villager

クリエイティビティ


今日、8月4日のWall Street Journalに企業会計に関する大きな記事が載っていた。気が付いたら企業会計が僕の大好物の記事の1つになってた(笑

Companies Tap Pension Plans
To Fund Executive Benefits
August 4, 2008; Page A1 Wall Street Journal


記事の内容はかなり難しいけど、ざっと読んで自分の理解している限りでは、企業が税制上有利な従業員の年金債務の中に、そうではない経営陣の年金債務を混ぜて、それによって税金の支払を減らしていたというもの。

企業の抱える一般従業員の年金債務への積み立ては法人税を計算するときに控除されるけど、経営陣の年金債務はそれに対する資産の積み立てをしない上に法人税の控除にはあたらない。企業がその債務を一般従業員の年金債務に混ぜれば、経営陣年金債務にある積み立て不足分だけ、企業の債務が増えて、それによって法人税控除の枠が増えて、法人税の支払が減って、利益も、キャッシュも増やすことが出来る。紙の上でチョチョット数字を動かすだけで、数十、数百億もの利益をを作り出すことが出来る。

でも、IRS(内国税務局)が主張するには、一般従業員と経営陣の年金債務を混ぜるなら、その2つの年金の額に大きな差がないことが前提だけど、実際にはそうでもない。だから、この操作が適切かどうか調べているとか。

問題は企業の税金支払額が減るだけに留まらない。資産の積み立てのない経営陣の年金債務を積み立てのある従業員のそれに入れると、当然のことながら、全体の年金債務の資産積み立て率は減ることになる。それによって、将来的に年金資産の運用成績が下がったときに、企業が追加の積み立てを強いられる場合が生じる。

それともう1つ。もし企業が破産したときには、従業員の年金の積み立て率は、経営陣の年金債務が合わさったことによって下がるので、結果として従業員の年金は、その合算操作をしなかったときよりも減ってしまう。本来、税制上の特典がないために積み立てをする意図がなかった経営陣の年金が、従業員の年金の犠牲によって部分的に救われる事態が発生してしまう。

本当に会計は面白いですね。色んな意味で。企業の利益も、マジメに働いている従業員に対する報酬も、企業にお金を預けている投資家の資産も、こんなに簡単に操作されちゃうんだもん。世の中、クリエイティビティを発揮できる人が多いこと。

ますます、企業会計、特にCreative Accountingに興味を持っちゃうね。


イギリスの規制を1日中、授業で聞かされて気分が悪くなった。ロンドン3週間目、日本を離れてから4週間目、つまらない資格勉強(特に規制・法律)もあって、本格的にホームシック。。。とほほ。
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by a_villager | 2008-08-05 05:36 | 投資